CO2をアセチレンとして再利用 同志社大・ダイキンが実証

同志社大学とダイキン工業は15日、溶融塩電解という手法によりCO2を有用物質のアセチレンとして再利用できることを実証したと発表した。実用化されれば、火力発電所や製鉄所で大量に排出されるCO2の削減に貢献することが期待できる。この研究成果は11月12~16日に開催された溶融塩国際会議で発表された。

2050年までにCO2の排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を実現するために、CO2を有用な資源として再利用するカーボンリサイクルが注目されている。その検討対象とされているものにメタンやメタノールなどがあるが、今までアセチレンについての研究はなかった。

溶融塩電解とは、塩や酸化物のイオン結晶の固体を高温に加熱して融解し液体にした溶融塩の中で電気分解する方法。研究グループは、食塩(NaCl)や塩化カルシウム(CaCl2)などを含む金属塩化物と、金属酸化物である生石灰(CaO)からなる溶融塩を用いた。500℃以上に加熱した溶融塩にCO2を注入して電気分解を行ったところ、アセチレン(C2H2)の主原料であるカーバイド(CaC2)が合成できることを発見した。カーバイドを水と反応させるとアセチレンを生成することができる。

アセチレンは金属の溶接や切断に広く利用され、合成樹脂の原料にもなる。原料のカーバイドを作るには通常は大量のエネルギーを用いてCO2を排出するので、CO2から生成する方法は環境問題の解決になる。

今後は、溶融塩の組成や電極材料、電解条件等を最適化することで、CO2からカーバイド、そしてアセチレンへの製造過程をより効率的にしていく。研究グループはこの研究を皮切りに、カーボンニュートラルに向けた技術開発をさらに加速させるとしている。

画像提供:同志社大学(冒頭の画像はイメージ)