医療現場での説明業務に生成AIチャットボットを導入 岡山大

岡山大学は1月30日、患者やその家族が介護保険についての理解を深めるためのAIチャットボットを開発したと発表した。病院での説明で解消しきれなかった疑問を、家に帰ってからスマートフォンアプリLINEを使って質問し、AIチャットボットが回答するというもの。大学病院内での説明業務にAIを導入するのは国内初の試みとなる。

病院での職員による説明は、時間が限られており、患者や家族の質問や疑問に十分答えられないことがある。この課題を解決するため、同大の長谷井嬢准教授は患者が自宅でいつでも質問できる AI チャットボットを構想した。そして、同大学病院の看護部長らへのインタビューを行い、介護保険の説明業務をまず解決する分野として選択した。

AIチャットボットのシステムの開発後、医療従事者や一般のテストユーザー10人が1か月間使用してAIの挙動を確認した結果、具体的な質問に対しては、ほとんどの場合で正確な応答が得られることがわかった。また、曖昧な質問については回答の提供に苦労することはあるものの、誤った情報を提供することはなかったという。

同大は今回の技術について、介護保険に限らず他の医療関連の説明業務にも応用できる可能性があるとしている。今後、年度内には臨床現場でのトライアルに進み、その後本格的に導入を進める予定だ。

長谷井准教授は、「この AI チャットボットは、患者自身が直面する問題を解決するだけでなく、医療従事者の業務負担を軽減し、より質の高い医療サービスの提供につながると信じている」とコメントした。医療現場での生成 AI の活用により、患者と医療従事者双方にとってより良いコミュニケーションが実現されることが期待される。

画像提供:岡山大学(冒頭の写真はイメージ)