構内で葉の配置パターンが通常と全く異なる植物を発見 広大
通常の葉の配置と全く異なるパターンで葉をつける植物が世界で初めて見つかった。広島大学の山田俊弘教授らの研究グループが東広島市にある同大のキャンパス内で発見した。身近な自然環境に、未知の知見が潜んでいることが感じられる成果だ。日本植物学会が発行する『Journal of Plant Research』で発表された。
植物にはたくさんの葉がついているが、光を有効活用するために自身の葉の重なりが少なくなるように工夫しながら葉を配置していることが知られている。上に位置する葉が、下に位置する葉の日陰を作って、下の葉が光不足で光合成ができなくなることを避けるためである。例えば、一本の幹に直接葉をつける樹木では、葉柄(葉を支えている部分)の長さとたわみ角(幹と葉柄のなす角)を上の葉から下の葉に向かって徐々に増加させることで、葉の重なりを少なくしている。このパターンは多くの植物に見ることができる。
研究グループは、東広島キャンパス内に多く自生しているウコギ科のコシアブラとタカノツメが、葉柄の長さとたわみ角のどちらも、上から下の葉に向かって徐々に減少させることで、互いの葉の重なりを少なくするよう調節していることを発見した。これまで知られていたのとは真逆の配置で、世界で初めて見つかったパターンである。
今まで知られていた配置も、今回新たに見つかった配置も、できあがる樹形はとても似ていて、葉の重なりを減少させるためには同じような効果がある。両者の間になんらかの機能的な違いがあるのかは今回の研究では明らかになっていない。研究グループは今後、葉の配置パターンの違いが、植物個体の生存や繁殖にあたえる影響について、さらに調査を進めていくとのこと。
写真と図の提供:広島大学(冒頭の写真はイメージ)