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立山連峰の積雪由来の菌で納豆を開発 近大

近畿大学は3日、立山連峰の積雪中から採取した菌で開発した納豆の開発に成功したと発表した。「やまなっとう」という商品名で金城納豆食品のオンラインショップで販売を開始した。

中国大陸の砂漠から飛来する黄砂は、鉱物粒子だけでなく、微生物も一緒に運んでくる。その微生物の中には納豆菌の一種であるバチルス株が多く含まれている。近畿大学の研究グループは、その点に着目し、「黄砂によって納豆菌が運ばれ、東アジアに納豆食文化をもたらしたのでないか」という仮説を立てた。

これまでは、納豆文化は中国奥地から陸路で日本各地に伝播したという「一元起源説」が優勢であったが、黄砂が納豆菌を運ぶとなると、納豆菌が飛来したそれぞれの地域で納豆文化が独自に発展したという「多元起源説」も有力になり得る。

その仮説を検証するために同グループは、黄砂が多く飛来するエリアである立山連峰の積雪中の黄砂からバチルス株を採取して、大豆を発酵させる実験を行った。その結果、約60個のバチルス株を分離培養できて、そのいずれの株からも納豆を生成することが確認できた。

試作品の中で「美味しさ」の観点で検証と議論を繰り返して評価して、商品化に最も適している株「Ty-16i」を選んだ。そして、この納豆を金城納豆食品と共同で「やまなっとう」という商品名で商品化した。立山連峰の地元である富山県産の丸大豆を使用し、付属のタレにも富山県産の素材を使用した。

同グループは、今後も空気中を浮遊するさまざまな菌を食品に生かすことを通じて、日本の食文化を科学の力で支えていく取り組みを行っていくとのこと。

産学連携で開発した「やまなっとう」

画像提供:近畿大学