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数億年かけて作られた自然美を巡る 秋吉台・秋芳洞

日本最大級のカルスト地形「秋吉台」

山口県美祢市に位置する秋吉台はカルスト台地と呼ばれる珍しい地形であることから、国立公園に指定されている。カルスト台地とは、水に溶けやすい石灰岩などが雨水や地下水によって侵食されてできた台地で、もともとは遠い南方の海のサンゴ礁に由来する。

サンゴ礁は時間が経つと石灰岩になり、それを繰り返しながら海の中で堆積していく。そして約3億5千万年という長い時間をかけて、海から山へ堆積しながら移動した石灰岩の厚みは500〜1000mにも達するという。プレート運動により隆起して地表に現れた石灰岩は雨水にさらされ、時間をかけて溶けた姿が今の秋吉台だ。

巨大鍾乳洞の「秋芳洞」

地表の内部にある石灰石は台地から地下に流れ込んだ雨水によって時間をかけて溶けていき、空洞が作られていくと鍾乳洞になる。秋吉台の地下100mには巨大な鍾乳洞が多数あり、その中の「秋芳洞」は総延長11.2kmを超える巨大鍾乳洞で、そのうちの約1kmは観光コースとして巡ることができる。

地下に向かってエレベーターで40mほど降りると、空間面積で日本一を誇る洞窟が広がっている。地下であることを感じないほど天井が高く、雨水によって溶かされたという鍾乳石は、その水の流れによって多様な形をしている。想像もできない時間をかけて作られた今の姿も永遠ではなく、徐々に姿を変えていくという。

途方もないほどの時間をかけて地球が作り上げた巨大な鍾乳洞とその空間美は訪れる人を圧倒する。普段考えることもないスケールでの時間を感じられる空間に、実際に足を踏み入れ触れてみてはいかがだろうか。

百枚皿:鍾乳洞には、地下水の流れによって作られた形にちなんで名前が付けられた岩が数多くある