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とにかく辛い!トウガラシ多用のブータン料理

南アジアに属し、経済の成長ではなく国民総幸福量(Gross National Happiness)を国の政策の主軸に置いていることで有名なブータン王国。沖縄とほぼ同じ緯度に位置し、南はバナナができるくらい暖かい気候だが、西側にはエベレストがあるため標高が高く、首都のティンプーでは冬は雪が降る。

この記事では、日本の10分の1の面積でありながら豊かな気候に恵まれたブータンの、主に西側の地域で食べられている料理を紹介する。

ブータン料理のメインはトウガラシ、そしてチーズ

地元の人に「よく買う野菜は何ですか?」と質問すると「トウガラシ」と答えが返ってくると言うほど、ブータンの人々はトウガラシをよく食べる。日本ではトウガラシは香辛料に分類されることが多いが、ブータンでは野菜の1つとして日常的に食べているようだ。町中の市場では、トウガラシが店先に山のように積まれているのを見かける。

また、昔から山岳地帯ではヤクの放牧が盛んで、その乳を使ったチーズやバターを食べていたのもあり、チーズを使った料理が多いのも特徴だ。

写真は観光客向けのレストランでの食事。手前右側には赤米。これで一人前の量とボリュームがある。

上記写真の左下にあるのがエマダツィと呼ばれるトウガラシをチーズで煮込んだ料理だ。味は塩味で辛みは強い。また写真の一番奥はパクシャパという、豚バラの干し肉、大根、唐辛子を煮詰めたブータンの代表的な料理。パクシャパには脂身が厚めの豚肉と輪切りにして干した大根が入っていて、こちらも辛い。他の料理は観光客向けに中華風に味付けされた炒め物で、辛さはない。

写真左がエマダツィ。材料はトウガラシとチーズだけと至ってシンプル。ブータン料理の代表的な2つの食材を使った料理だ。

米や野菜は日本の技術で栽培

昔はソバや小麦を主食として食べていたそうだが、1964年以降日本から農業の技術協力団が派遣されて以降、ブータンでコメや野菜の栽培が盛んになったという。現在は赤米が主食で、市場には新鮮な野菜が売られている。

ブータンは仏教国なので国内では殺生が禁止されているが、食べること自体は許されていることから、加工済みの精肉がインドから輸入されている。また市場ではソーセージや干した魚なども売られていた。

市場に山積みにされたトウガラシ(右側)。ほかの野菜も傷みが少なく、新鮮なまま市場に運ばれてきたのがわかる。

ブータンの水田の様子。新暦の7月中旬頃。

市場に並んだ米。白いコメは日本のコメと同じで「ジャパン・ライス」と呼ばれているそう。少し赤みがかっているのが赤米。

干した魚。この干した魚をトウガラシと煮込んだ料理もある。

昔からインドとの交流が多かったにもかかわらず、なぜかコショウが料理に使われず、カレーなどもブータンでは日常的には食さないという。

子供が小さいうちからトウガラシ料理を食べさせるほど辛いものを好むというブータンの食文化。観光客には太刀打ちできないほど辛い料理の数々も、ブータン人が幸せを追求するときに欠かせない要素の一つなのかもしれない。