茶農家向け除草機を開発 日本食人気や健康志向の高まり受け
農業・食品産業技術総合研究機構(農研機構)は、寺田製作所、静岡県農林技術研究所と共同で、茶園における除草作業を大幅に省力化できる茶園用除草機を開発したと発表した。除草機と手取り除草の組み合わせで、従来の手取り除草のみに比べて除草時間を50%以上削減できるようになった。この除草機は寺田製作所で販売されている。
米国などでの日本食ブームや健康志向の高まりによって、茶の輸出量がこの10年間で約2.5倍強に拡大している。特に欧州の消費者からは有機栽培や減農薬栽培に対してのニーズが高い。しかし、除草剤に頼らない手取り除草は非常に多くの労力が必要で、また雇用労働力の確保も困難になってきている。そのために産地の維持・発展のために除草作業の機械化が急務になっている。
農研機構らは、生産現場からの除草作業に対する機械化への強い要望に応えて、茶園用除草機の研究開発に取り組んだ。開発した茶園用除草機は、茶葉の収穫・剪定、肥料・農薬の散布に従来から用いられている乗用型茶園管理機にアタッチメントとして装着して用いる。除草のための機構は二つあり、うね間と樹冠外縁部を除草する。うね間の除草は乗用型茶園管理機から動力を得て油圧モータを用いて除草爪を回転させる。樹冠外縁部の除草は除草刃が入り込み雑草をかきとる構造となっているが、茶樹を傷めないように強く当たった場合は、内側に縮むような機能を有している。この二種類の除草機構は乗用型茶園管理機の走行部の後方に装着して、茶うねの両側を同時に除草する。
除草機を用いた現地試験の結果、除草機のみで除草できた割合は平均83%だった。慣行の手取り除草に比べて、除草時間を50%以上削減できることが確認できた。静岡県内の有機栽培茶園では一般に年間5~6回程度、除草作業を行う。このため、除草機は通年の除草作業に対して大幅な省力化に貢献できる。
今後は、除草機の現地適応性の拡大を図り、現地実証試験を行っていく。
写真提供:農研機構(冒頭の写真はイメージ)