交流地場ががん細胞の増殖を抑えることを発見 横浜市立大学

交流磁場ががん細胞の増殖を抑えることを発見 横浜市立大学

横浜市立大学は21日、特定の周波数の交流磁場が、治療の難しい悪性神経膠腫等のがん細胞の増殖を抑える働きがあることを発見したと発表した。今回発見した作用は、将来的に新しいがん治療装置の開発に役立つことが期待される。この研究成果は国際学術誌に掲載された。

悪性神経膠腫は、脳や脊髄の神経細胞から発生する非常に悪性度の高いがんであり、進行が早く治療が難しいことが特徴である。新規患者数が国内で年間3700人いるとされ、5年生存率は10%に満たない。初診断時には標準治療では開頭手術による腫瘍摘出後、放射線治療や薬物療法が行われているが、治療終了後1年以内に半数以上が再発する。再発時には標準治療がないため、新しい治療が求められている。

研究グループは、悪性神経膠腫や膵がん、乳がん細胞において、特定の周波数の交流磁場が物理刺激のみでガン細胞の増殖を抑える抗腫瘍効果があることを発見した。がん細胞では酸素を使わない細胞質でのエネルギー産生方式が一般的だが、交流磁場の物理的な刺激により、正常細胞のようにミトコンドリア酸素を使うエネルギー産生方式に変わり、これによりがん細胞の増殖抑制効果を発揮することがわかった。交流磁場刺激により、複数の種類のヒト悪性がん細胞の増殖が抑制された一方で、正常細胞への影響はなかった。マウスにヒトのがん細胞を移植した実験でも交流磁場の効果が確認された。

今後は、この現象を医療機器開発に応用し、脳腫瘍を始めとしたがん治療のための医療装置の作製を目指すとのこと。

交流地場ががん細胞の増殖を抑えることを発見 横浜市立大学

交流磁場によりがん細胞が縮小するイメージ図

画像提供:横浜市立大学(冒頭の写真はイメージ)