発電と農業が同時にできる太陽電池パネルを開発 阪大ほか

大阪大学は8月28日、発電と農作物栽培の両立を実現する有機太陽電池の開発に成功したと発表した。エネルギー地産地消の新しい営農型太陽光発電技術の確立が期待できる。この研究成果は国際学術誌に発表された。

太陽光を発電と農作物栽培の両方に利用する技術として、シリコン太陽電池を用いたソーラーシェアリングがある。しかし、設置用の架台設備等のスペースが必要なことに加えて、太陽光パネル自体が日陰を作ることによる農作物への悪影響が懸念されていた。

有機太陽電池(OSC)はシリコン太陽電池と比べて軽量性、柔軟性に優れるために農業用ハウスへの搭載が比較的容易だ。また、OSCは設計時に光のどの波長を用いるかを選ぶことができる。

大阪大学、公立諏訪東京理科大学、石原産業、デザインソーラー(神奈川県横須賀市)の研究グループは、緑色光波長選択性を持つOSCを開発した。この太陽電池パネルは緑色光を用いて発電し、農作物の生育に必要な青色光と赤色光を透過する。イチゴを用いた光合成速度評価やトマトを使った予備的な農業評価で、このパネルが農業用途として使用可能であるという結果が得られた。

この研究成果によって、農地での発電と農業の両立が可能になった。農作物の生育に悪影響を与えることなく農業用ハウスに電力を供給できるため、太陽光エネルギーを活用した地産地消型発電技術の実現が期待される。今後は、農業用ハウス運用のための膨大なエネルギーをまかなえる、農業用ハウスに適した太陽電池の開発を進めていくとしている。

同研究で開発した緑色光波長選択型OSCの概要

画像提供:大阪大学(冒頭の写真はイメージ)