「培養肉」に関する意識の国際調査を実施、東大・弘前大

「培養肉」に関する意識の国際調査を実施、東大・弘前大

東京大学と弘前大学が行った「培養肉 (ばいようにく)」に関する国際調査の結果、条件が整えば日本を含め各国で 5 割以上が「培養肉」を食べてみたいと答えたことがわかった。調査期間は2023年12月4日~6日と2024年2月1日~3月4日。日本、シンガポール、オーストラリア、デンマーク、イタリアの5つの国で、20歳から59歳の男女を対象にインターネット上で実施し、4,416人が回答した。

「培養肉」とは、動物を育てて肉を取る代わりに、動物の細胞を実験室等で培養して作った肉だ。広い牧場がいらず、衛生管理もしやすいといった利点があり、環境に対する負荷が少ないという特徴がある。今、世界ではたくさんの肉が食べられている。しかし、動物を育てるには広い土地やたくさんの水が必要で、環境に負担がかかる。培養肉は、こうした問題を解決する方法として注目されている。

調査の結果、「培養肉は世界の食料危機を解決する可能性がある」という意見に日本では半数近くが賛成を示しており、培養肉を積極的に推進しているシンガポールと同程度だった。しかし、「培養肉を試しに食べてみたいか」という問いに賛成を示したのは日本では3割強に過ぎず、シンガポールで6割、反「培養肉」法案を採用したイタリアでも5割強と、海外に比べて割合が低かった。また、シンガポールやイタリアでは「培養肉が地球温暖化の軽減につながる」という意見に賛成する割合が半数を超えていたが、日本では3割程度と比較的低かった。

「培養肉」を不安視する背景としては、食文化への影響と安全性、おいしさの問題が考えられる。それらについても調べたところ、イタリアでは自国の食文化に誇りを持つ人の割合が非常に高く、食文化への関心が「培養肉」の導入と結びつく可能性もある。また「安全性が保証され、牛肉と変わらないおいしさであるなら食べてみたいか」という問いには最も割合の低い日本でも半数が賛成を示した。

培養肉は、環境にやさしい新しい肉の作り方だ。世界的に多くの人が培養肉に興味を持っている中、日本でも安全性を確認しつつ、受け入れられる下地をどう作っていくかが重要だろう。

画像提供:弘前大学(冒頭の写真はイメージ)