絶滅危惧種の二ホンウナギが外敵の胃から逃げ出す方法確認 長崎大
長崎大の研究チームは、ニホンウナギの稚魚が捕食魚に丸呑みされた際、消化管内を遡ってエラから脱出することを明らかにした。この研究の詳細は、科学誌「Current Biology」で9日に掲載された。
ニホンウナギは絶滅の危機に瀕している。このため、長崎大の研究者たちはウナギの生態を詳しく調べてきた。その中で、ウナギの稚魚が捕食魚であるドンコに捕まった後、そのエラの隙間を通って脱出することを2021年に明らかにした。しかし、ウナギがどのような経路で脱出しているのかはわかっておらず、研究を続けてきた。
研究チームは2022年から、ウナギに造影剤であるバリウムを注入し、X線映像撮影装置内でドンコにウナギを捕獲させ、ドンコの体内でウナギがどのように逃げ出すのかを詳細に観察した。
当初、ウナギはドンコの口内からエラの隙間に向かって逃げ出しているのだろうと考えられた。しかし得られたX線映像から、衝撃的な事実が明らかになった。ウナギはドンコに飲み込まれ、体の一部が胃まで達した後、消化管内を通って食道からエラへと向かい、脱出していたのだ。研究チームは、32匹のウナギのうち9匹が実際にこの経路を通って脱出する様子を確認した。また、完全に胃に飲み込まれても、11匹のウナギは胃の中でぐるぐると回転しながら脱出経路を探していた。
ウナギは細長くぬるぬるとした滑りやすい体を持ち、さらに消化される前に素早く逃げ出すことができるだけの筋力を持っている。また胃の中は強い酸性で酸素が少ない環境だが、ウナギはそれにもしばらくの間は耐える能力があることが示された。
また、今回使われた実験手法は研究チームが独自に編み出したもので、これまでに例がない。この独自な手法を用いれば、他の捕食者と獲物の関係についても新たな発見が期待できるだろう。
(写真はイメージ)