8月に発見された小惑星が2か月のみ地球の衛星に

8月に発見された小惑星が2か月のみ地球の衛星に

今年の8月に発見された小惑星2024 PT5が、2024年9月29日から11月25日までの間、地球の「第二の月」となることがスペインの研究チームによって示された。アメリカ天文学会(AAS)の研究ノートに今月掲載された。

地球の比較的近いところに浮かぶ小惑星などの天体を「地球近傍天体(NEO)」という。こうした小惑星などは地球の重力に影響され、時には月のように地球の周囲を回る衛星になることがある。このような小惑星は「第二の月」(ミニムーン)と呼ばれ、過去にもいくつかの事例が確認されている。例えば、2022 NX1は1981年と2022年に一時的に地球に捕捉され、地球の周りを1周することなく短命なミニムーンとして観測され、2051年にもミニムーンになると見られている。また、1周以上した例として、2006年7月から2007年7月まで地球の重力に縛られたままだった2006 RH120や、数年間地球に縛られた後、2020年5月初旬に抜け出した2020 CD3が挙げられる。

2024 PT5は今年8月7日に南アフリカのサザーランドにある「小惑星地球衝突最終警報システム(ATLAS)」で発見された。大きさは約10mと推定され、2020 CD3、2006 RH120、2022 NX1のいずれよりも大きい。この小惑星は太陽を中心に、地球の公転軌道とほぼ同じ公転軌道を持っている。しかし、地球や月の重力の影響を受けて軌道がどう変化するかをシミュレーションした結果、9月29日に地球の重力に捕捉されて11月25日までの56.6日間だけ地球の「第二の月」となり、その後は再び太陽中心の軌道に戻ると予想されている。その後も地球に近づき、2025年1月9日に最接近した際には地球から約1800kmの所を通過する見込みで、次に戻ってくるのは2055年となる。

今回の発見に繋がったATLASはNASAの資金提供を受けてハワイ大学が開発したもの。4つの望遠鏡(ハワイ×2、チリ、南アフリカ)で構成され、移動物体を探すために毎晩数回全天を自動スキャンしている。ATLASは約20mサイズの小惑星を数日前に、100mサイズの小惑星を数週間前に検出できる。100mサイズの小惑星は、 2021年のトンガ火山噴火の約10倍の破壊力を持っている。こうして観測されたデータはWebに公開され、世界中の天文学者が軌道を計算し、地球に脅威を与える可能性を判断している。

(写真はイメージ)