マウスもスイーツは別腹 計画的食行動の様子が明らかに
東京大学大学院農学生命科学研究科は、マウスの実験によって、人間と同じように好物をたくさん食べ、苦手なものを避けようとすることを発見したことを発表した。人間が日常的に行っている計画的食行動のメカニズム解明につながることが期待される。
人間は空腹や満腹感に応じて食事の量を調整する仕組み(代謝制御)の他に、「スイーツは別腹」というような好き嫌いに応じて食べるか食べないかを決定する仕組み(認知制御)を持っている。このような「別腹食い」、「ストレス食い」、「やけ食い」は本来の生存には必要ない食行動と言えるが、その仕組みはよく分かっていない。また、食べる量を計画的に調節する仕組みは拒食症や過食症などにも関わっていると考えられるため、認知制御の理解は摂食障害のメカニズム解明の基礎的な知見になると考えられている。
東京大学大学院農学生命科学研究科の研究グループは、この認知制御のメカニズムを解明するために、マウスが食後のデザートに応じて食事の量を調整できるかを調べた。実験の結果、通常の餌の後にマウスの好きな食べ物 (チーズや甘いチョコレート) を3日間与え続けると、日を追うごとに通常の餌の食べる量を減らし、マウスの嫌いな食べ物 (苦いチョコレート) を3日間与えると徐々に通常の餌の食べる量を増やすようになった。
この結果は、マウスが食べ物の好き嫌いに応じて食べる量を調整できることを示しており、マウスの脳内のメカニズムを解明することで、私たちが日々行っている何を食べるかを意思決定する機構の解明に近づくことが期待される。
画像提供:東京大学大学院農学生命科学研究科(冒頭の写真はイメージ)