SNS投稿写真で、国内で観測されたオーロラ現象を解明 極地研など
国立極地研究所、統計数理研究所、東京大学は、5月11日に日本の広範囲から観測され撮影されたオーロラの写真の分析により、兵庫県などの低緯度の地域でも観測できた理由が明らかになったことを、10月31日に発表した。
5月11日、巨大磁気嵐によってオーロラが発生した際、研究グループのSNSでの呼びかけによって日本全国で撮影された写真が集まった。これらの写真には、兵庫県のように緯度が低い地域からもオーロラが観測されたこと、そして色が赤ではなくマゼンタだったという二つの特徴があった。
研究グループは179地点の写真からオーロラの上端の仰角を求めて、オーロラが発光している高度と緯度を推定した。通常のオーロラの発光高度は高くても600kmなのに対して、この日のオーロラ上端の高さは1000km以上であった可能性が高いことが明らかになった。これが、兵庫県などの緯度の低い地域からでもオーロラが観測できた最大の理由だった。
一方、オーロラの色が磁気嵐時の典型的な赤ではなくマゼンタだったという点については、地上は夜であっても7000〜1万m上空の高高度は日射域であり、太陽光が窒素分子イオンによって散乱して青色が加わっていたと考えられる。
この研究は、2023年12月に北海道から目撃された異常に明るいオーロラの成因に続き、SNSを通じて一般市民が科学研究に参加するシチズンサイエンスの重要性を示す一例となった。今後もシチズンサイエンスによって、オーロラ観測や磁気嵐などの実態解明が進展することが期待される。
画像提供:国立極地研究所(冒頭の写真はイメージ)
参考記事:
23年12月の北海道の赤いオーロラ、成因を解明 極地研など(2024.07.01)