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eスポーツ施設が不登校児の居場所に 学校の出席日数として算入

南海電鉄グループのeスタジアム(大阪府大阪市)の運営するeスポーツ施設が、大阪市の公立中学校との連携により、義務教育課程における出席認定制度の対象施設として選出された。出席認定制度とは、文部科学省が定めたいくつかの要件を満たせば不登校児童生徒が出席扱いになる制度だが、実際に認定の対象になるかどうかは学校や教育委員会によって判断される。eスポーツ施設が同制度の対象施設となるのは日本で初めてのこと。

同社は今年8月、eスポーツを通じた地方創生の取り組みとして、ゲームクリエイタースクールを併設したeスポーツ施設「eスタジアムなんば本店」をオープンした。この施設は地域の中学校の課外学習の場としても活用されており、自治体や企業が抱える社会課題の解決に寄与することを目指している。

今回、このeスタジアムなんば本店が大阪市立心和中学校との連携により出席認定制度の対象施設となった。同校は文科省が指定する「学びの多様化学校(旧不登校特例校)」として今年4月に開校。「学びの多様化学校」では不登校または不登校傾向の生徒の実態に配慮して特別に編成された教育課程に基づいた教育が行われる。同校も不登校を経験した生徒を対象に昼間部及び夜間部を設置し、通常の義務教育課程と併せて、生徒の個々の能力を引き出すことを目的にICT教育などの特別なカリキュラムを設ける。その一環として今回、「eスタジアムなんば本店」を出席認定制度の対象施設として採用した。同施設で実施される課外学習に参加すると、出席日数として認定される。

心和中学校の盛岡栄市校長は、不登校を経験した生徒について「自分の個性や興味のあるもの、あるいは家庭環境や経験してきたことなどから自己分析し、これからの将来展望をしっかり持った生徒が多い」と述べ、不登校であった時間は決して無駄な時間ではないことを強調した。同校ではゲームに興味を持つ生徒が多いことから、eスタジアムでの体験によるコミュニケーションや協力の楽しさへの学びに期待を寄せている。

画像提供:eスタジアム