海洋プランクトン、今後の温暖化で熱帯域では絶滅か 東北大が分析

東北大学の研究チームは、世界中の海洋プランクトンと呼ばれる小さな生き物の温暖化による影響について調査した結果、個体数が減り、住む場所を変えざるを得なくなっていることが明らかになった。特に熱帯の海では、温暖化が進むとプランクトンが生き残れなくなる可能性が高く、海全体の生態系や地球環境に影響が出ることが懸念される。この研究は11月13日(現地時間)に科学誌『Nature』に掲載された。

プランクトンは海の中で二酸化炭素を吸収したり、他の生き物の食べ物になったりと重要な役割を果たしている。これまでも、約 2 万年前の最終氷期など数千〜数万年単位での環境変化に対して海洋プランクトンが生息域を変えてきたことは知られていたが、近年の数十年間での急激な温暖化の影響についてはよく分かっていなかった。

今回、東北大学の研究チームが過去100年間のデータを分析した結果、プランクトンの数は過去80年間で24%も減少していた。また、年に10kmの速さで水温の低い高緯度に移動しており、さらに今回初めて海の深いところにも生息域を広げていることが確認された。特に熱帯の海では、これからさらに水温が上がると共に海洋が酸性化するため、今世紀末にはプランクトンが住めない環境となり、多くが絶滅すると予想した。

この研究は、地球温暖化が私たちの気づきにくいところでも大きな影響を与えていることを示している。プランクトンが減ることで、海の生態系が崩れるだけでなく、地球全体の炭素の循環にも悪影響が出る可能性がある。研究者らは、温暖化の進行を抑えるための取り組みが急務だと訴えている。

未来の海の環境を守るためには、私たち一人ひとりができることを考え、実際に行動する必要があると言えるだろう。

(写真はイメージ)