上野公園のソメイヨシノ、オリジナルの可能性
日本の春を彩る代表的な桜の木「ソメイヨシノ」。全国で一斉に花開き、散って行くのはすべての木が接ぎ木で増やされ、遺伝子が同一のクローンだからだが、そのオリジナルとなる原木の候補が東京の上野公園内で見つかった。江戸時代から桜の名所として知られている場所で、ソメイヨシノ4本と共に、エドヒガン系のコマツオトメなど近縁種の桜6本が規則正しく並んで植えられていた。
千葉大学の中村郁郎教授(植物育種学)のチームが遺伝子型を解析し、この6本はソメイヨシノと共通の親を持つ兄弟桜であるとわかった。このことから自然交雑ではなく、メンデルの法則の発見(1865年)以前に日本の植木職人が品種改良を意図して交配させて生まれた兄弟桜を一緒に植え、見栄えの良かった桜をソメイヨシノとして選抜したとみている。端にある1本のソメイヨシノは観賞用ではなく、接ぎ木の枝をとるための原木の可能性があると結論付け、3月12日に発表した。
ソメイヨシノは、江戸中期に染井村(現在の東京都豊島区駒込)の植木職人により作出され、明治以降全国に広がった。