微生物がひび割れを修復するバイオマスコンクリート開発 愛媛大など

愛媛大学は8日、安藤ハザマ(東京都港区)、静岡理工科大学、港湾空港技術研究所と共同で、微生物を高度利用したバイオスマートコンクリートを開発したと発表した。鉄筋腐食抑制効果やひび割れ自己治癒効果があり、鉄筋コンクリート構造物の長寿命化が期待できる。

安全で強靭なインフラシステムの構築のため、鉄筋コンクリート構造物の長寿命化技術が求められているが、そのためにはコンクリート中の鉄筋の腐食を防止することが重要だ。鉄筋の腐食の原因になるのは、ひび割れによって水分が侵入して鉄筋に到達することや、鉄筋内部で異なる電位が生じて電気化学的な腐食反応が起こることが挙げられる。

研究グループは、微生物の代謝活動により、電気腐食反応に関わるコンクリート中に溶け込んだ酸素を消費し、かつ酸素と水の供給路となるひび割れを自己治癒することで、鉄筋腐食を防止するバイオマスコンクリートを開発した。酸素を消費して二酸化炭素を排出する代謝活動を行う一般的な好気性微生物は、pHが9程度以下の弱アルカリ性から中性でその活動を行う。コンクリートはpHが11~12という強アルカリ性材料であり、一般的な好気性微生物は活動することができない。

研究グループは、pHが11~12の強アルカリ性の条件の下でも代謝活動と増殖が可能な強アルカリ耐性菌「AH株」を発見した。そこで、コンクリート練混ぜ時にAH株と栄養素を添加したバイオスマートコンクリートで供試体を作製し、繰り返しひび割れさせての漏水実験を行った。実験の結果、ひび割れが自己治癒され、漏水が止まったことが確認できた。

今後は、鉄筋腐食抑制効果やひび割れ自己治癒効果の実証を進め、実用化に向けた取り組みを推進していくとしている。

ひび割れの自己治癒状況

画像提供:愛媛大学(冒頭の写真はイメージ)