妊娠中の喫煙対策に加え、受動喫煙防止が母子の健康を守る鍵 東北大

妊娠中の喫煙や受動喫煙が、赤ちゃんと母体双方の命を脅かす「常位胎盤早期剥離」のリスクに関与することが東北大学の調査によって明らかになった。妊娠中の喫煙対策に加えて、受動喫煙を防止する取り組みの重要性を示す結果だ。5日のBMJ Openに論文が公開された。

常位胎盤早期剥離とは、赤ちゃんに栄養を送る胎盤が、出産の前に子宮から剥がれてしまう病気のこと。母体や赤ちゃんの命に関わる重大な状態で、出血やお腹の痛みが特徴だ。妊娠中の喫煙や受動喫煙が赤ちゃんや母体の健康に影響を与えることは知られているが、胎盤早期剥離の発症との関連性はこれまで明らかになっていなかった。

東北大の研究グループは、環境省が実施する「子どもの健康と環境に関する全国調査(「エコチル調査」)」参加者のうち、約8万2千人の妊婦のデータを用いて、喫煙および受動喫煙による胎盤早期剥離のリスクの割合を計算した。

その結果、妊娠中に喫煙をし続けたことを起因とする胎盤早期剥離のリスクの割合は、全体の約2.8%であることがわかった。また、喫煙経験のない妊婦でも、受動喫煙にさらされたことを起因とする胎盤早期剥離のリスクの割合は約3.0%であることが示された。これらの結果から、喫煙と受動喫煙が胎盤早期剥離に大きく関与していることが確認された。

この結果を受けて、妊娠中の禁煙や受動喫煙防止の取り組みの重要性が改めて示された。母子の健康を守るために、妊婦自身に禁煙を呼びかけるのみでなく、公共の場や家庭内での受動喫煙を減らすための政策や啓発活動を強化していく必要があるだろう。安全な妊娠・出産環境の整備がさらに進められることが期待される。

(写真はイメージ)