無花粉スギ 新品種が誕生 花粉症発生源対策の切り札なるか

無花粉のスギ 15年間をかけて新品種が誕生

今まさにスギ花粉に悩まされている方もおられるのではないだろうか。今回、無花粉スギの新品種「春凪(はるな)」を開発したと静岡大学の農学部、静岡県農林技術研究所森林・林業研究センター、神奈川県自然環境保全センター、国立研究開発法人森林研究・整備機構森林総合研究所林木育種センターが共同で発表した。

スギ花粉症は日本で最も多い花粉症で、2019年の調査では日本人の38.8%がスギ花粉症と推定されている。花粉症発生源を減らすために、花粉の出ない無花粉スギ品種の普及が期待されるが、現状では無花粉スギの品種が少なく、品種の充実が望まれていた。今回の研究では、神奈川県のスギ品種と静岡県のスギの品種を交配させ、その中から無花粉でさらに成長の速さや強度、加工のしやすさなど林業用の品種として求められる性質を備えた品種が選抜された。15年の歳月をかけて選抜された新品種は、森林総合研究所林木育種センターが設置する優良品種・技術評価委員会にて優良品種としての基準を満たしているとの評価を受けた。

新品種の名称「春凪」には「春:いままで花粉症に苦しめられてきた時期に、凪:静かでゆったりと暮らすことができるようになる」という思いが込められているという。今後、新品種「春凪」は、静岡県等での林業への活用や、さらなる品種改良のための育種素材として利用されるということで、スギ花粉症発生源の対策のホープとしての活躍が期待される。

(写真はイメージ)