日本はアジアで最も人材が探しづらい国 ヘイズ・ジャパン調査
外資系人材紹介会社のヘイズ・リクルートメント・ジャパンは12日、世界31カ国の人材の需給バランスに関する調査結果を発表した。日本は総合スコアが6.1で、昨年に引き続きアジアで最も人材の確保が困難な国という結果となり、特に企業が求めるスキルと実際に求職者が持っているスキルの不一致を表す数値が最高値となった。
同調査は、労働需要に応えられる人材を教育する柔軟性、労働市場に参加している人の数、政府による規定の柔軟性、企業の求めるスキルと求職者が持つスキルのかい離(人材のミスマッチ)、全体的な賃金の上昇率(賃金圧力)、専門性の高い業界における賃金の上昇率、専門性の高い職業における賃金の上昇率という7つの指標をもとに各国のスコアを算出したもの。それぞれの指標と合計点は0から10までの値で表され、0に近づくほど人材の確保がより容易、10に近づくほど人材の確保がより困難であり、労働力の需要と供給のバランスが最も良い状態が5.0となる。
日本は2013年には世界で最も総合スコアが高く、人材の確保が最も困難な国となっていたが、昨年は世界で8番目、今年は世界で7番目にスコアが高い国となり、アジアでは依然として最も高い結果となった。世界で最も高かったのは米国(6.9)で、次はスウェーデン(6.7)だった。ブラジル、オーストラリア、インド、デンマークの4カ国は、最もバランスの良い5.0となった。最もスコアが低く、人材の確保が容易な国はベルギー(3.7)となった。
「人材のミスマッチ」において日本は米国などとともに最高スコアの10.0となった(昨年は9.5)。同社は「日本では、データサイエンティストや、デジタルマーケティングのスキルを持つマーケティング担当者、FP&Aと呼ばれる経営や高いファイナンスの知識を持った財務・経理のスペシャリストなどについて、募集が多い一方で人材の確保が難しい状況が続いている」としている。日本は他の指標では、大きな変化は見られなかった。
世界31カ国の総合スコアと「人材のミスマッチ」スコアは以下の通り。
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国・地域 | 2015年 総合スコア |
2014年 総合スコア |
「人材のミスマッチ」スコア |
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米国 | 6.9 | 6.3 | 10.0 |
スウェーデン | 6.7 | 6.6 | 7.6 |
スペイン | 6.4 | 6.3 | 10.0 |
ドイツ | 6.4 | 6.2 | 3.3 |
ハンガリー | 6.3 | 6.3 | 9.6 |
英国 | 6.1 | 5.1 | 9.7 |
日本 | 6.1 | 6.0 | 10.0 |
ルクセンブルク | 6.1 | 5.5 | 9.4 |
ロシア | 6.0 | 6.1 | 5.5 |
コロンビア | 5.9 | 6.0 | 6.5 |
ポルトガル | 5.9 | 5.9 | 10.0 |
アイルランド | 5.7 | 5.8 | 10.0 |
カナダ | 5.7 | 5.6 | 6.6 |
メキシコ | 5.6 | 5.8 | 5.1 |
フランス | 5.3 | 5.2 | 5.9 |
ニュージーランド | 5.1 | 4.9 | 4.7 |
オーストリア | 5.1 | 5.0 | 2.9 |
オーストラリア | 5.0 | 5.3 | 4.2 |
デンマーク | 5.0 | 4.5 | 7.6 |
ブラジル | 5.0 | 5.4 | 5.7 |
インド | 5.0 | 4.5 | 5.0 |
ポーランド | 4.9 | 5.0 | 4.7 |
チェコ | 4.9 | 4.8 | 2.4 |
チリ | 4.8 | 5.2 | 3.3 |
中国 | 4.7 | 5.0 | 4.9 |
オランダ | 4.7 | 4.8 | 3.8 |
シンガポール | 4.7 | 4.1 | 6.0 |
スイス | 4.6 | 4.5 | 3.6 |
香港 | 4.5 | 4.5 | 4.9 |
イタリア | 4.0 | 3.9 | 8.1 |
ベルギー | 3.7 | 3.8 | 0.1 |
日本のそれぞれのスコアは以下の通り。
2015年スコア | 2014年スコア | |
---|---|---|
教育の柔軟性 | 3.0 | 2.8 |
労働市場への参加 | 6.1 | 6.0 |
労働市場の柔軟性 | 6.7 | 7.1 |
人材のミスマッチ | 10.0 | 9.5 |
全体的な賃金圧力 | 8.1 | 8.0 |
専門性の高い業界における賃金圧力 | 2.5 | 2.7 |
専門性の高い職業における賃金圧力 | 6.2 | 6.0 |
総合 | 6.1 | 6.0 |
(写真はイメージ)