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【連載企画】地方・地域再生のクリエイティブな試み

NEWSALT連載
~(3)街というチームを活かす仕事~

名古屋市港区の西築地学区を中心とした、港地区周辺の地域再生に関する本連載も3回目となった。NEWSALTのこれまで2回の連載では、より一般的な表記として「街づくり」としてきたが、この分野の専門用語として「まちづくり」という表記も増えている。これは、近年の街づくりが、都市整備や開発といった側面だけではなく、コミュニティづくりも含めた幅広い意味合いをもたせる背景があるためだ。その意味では、今回の取材地のクリエイティブな試みはまさに「まちづくり」といえるだろう。今連載を通して、「まちづくり」とは何かを考えるきっかけを提供できたらと思う。

さて、今回は街づくりという職業とは何か?について触れたい。ここで、港まちづくり協議会スタッフの1日を追うといった詳細な内容ではなく、本質的に何をする職業なのか?にスポットを当ててみたい。(詳細な活動内容はhttp://www.minnatomachi.jp/まで)

取材に応じてくれた、広報担当の岡西康太さんによると、この職業は「まちという単位でのチームビルディングに似ている」という。一年や何カ年を通して、地元ならではのさまざまなイベントを企画・運営し、地域の情報発信をするなど、事業は多岐にわたるが、そのプロセスでは人と人の関係を紡いでいくコーディネートが欠かせない。街づくりの主人公である、街の人々の、時には気がついていない点にもアプローチしつつ、あふれる想いも受け止めてコミュニケーションを促進し地域を活かす。コミュニケーションのプロとしての資質、裏方として街の主人公たちを支え、その活動をプロデュースするなど、多様なスキルが問われる。その地に暮らす個々人には個性があるなかで街が一つの方向に向かうには、各個性に関心や愛着を感じ、何かしらの関係性でつながる仕組みをつくっていくのだ。

広報の岡西さんは、働き始めて3年目だが、当初「ワークショップがしたいです、と漠然とした思いを面接で伝えた」と話す。「まちづくり」がなんなのかも分からなかった。が、現場は毎日がいわばワークショップのようだった。街に飛び出し、人と出会い、チームで動く。「一人ひとりの意見が活かされる、街の人たちの楽しそうな姿に接して、そんな仕事に関わって自分自身が成長していけるのがうれしい」とも語る。

人は本来、関心を持ち合ってこそ存在することができると言われる。街づくりという職業は、関心を持ち合う、つまり自立した個々人が関係性を創造するのを支える仕事ともいえるだろう。

最終回は、地方・地域再生のこれからに関して、現場の声をもとに検証してみたい。

参考記事
(2)そこで暮らす人の想いが街をつくる アートできっかけづくり
(1)愛知県・名古屋市 港まちポットラックビルのアート・プログラム
 

地方・地域再生のクリエイティブな試み
街やコミュニティの現場で活躍するゲストを呼んで「まち」についてみんなで考えるスクール「ポットラックスクール」の交流会

地方・地域再生のクリエイティブな試み
12月25日(金)まで開催中の「みなとイルミナート」内で行なわれる、「みなとAGOGO」という港まちを巡るミニツアーでは各種イベントが目白押し。写真は、その中の海辺で港の気持ちよさを味わうヨガの企画。

地方・地域再生のクリエイティブな試み
港まちづくり協議会 事務局広報 岡西康太さん

地方・地域再生のクリエイティブな試み
街の人を主人公とした、街の情報誌「ぶらり港まち新聞」。3年で計10号制作している。