安倍総理、COP21での新たな国際枠組みの合意に向けて
30日より、フランス・パリで気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)が始まる。このCOP21に向けて安倍総理は26日、「『京都議定書』に代わる、温室効果ガス削減のための『新たな国際枠組み』の合意を、是非まとめたい」と述べ、具体的には枠組みに発展途上国が参加できるよう支援すること、革新的技術を開発すること(イノベーション)の2点を重点施策として挙げた。
第1の途上国支援については、新たな国際枠組みの合意に全ての国が参加することを重視し、途上国の積極的な参加を後押しするため、2020年までの支援額を官民合わせて1.3兆円に増額する。これにより、先進国による年間1000億ドルの約束達成の道筋がつくとしている。
第2のイノベーションについては、気候変動対策と経済成長を両立させるには、革新的技術の開発が鍵になるとした。二酸化炭素(CO2)フリー社会に向けた水素の製造・貯蔵・輸送技術や、電気自動車の走行距離を現在の5倍にする次世代蓄電池の開発などがある。来春までに、「エネルギー・環境イノベーション戦略」を取りまとめ、集中すべき分野を特定して研究開発を強化していく方針。
安倍政権では科学技術イノベーションを実現するために昨年度、「戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)」を立ち上げた。水素の製造・輸送・貯蔵・利用の技術「エネルギーキャリア」の部門では、再生可能エネルギー等を起源とする電気・水素等により、クリーンかつ経済的でセキュリティーレベルも高い社会の構築を目指して開発に取り組んでいる。主な研究開発項目は、
○アンモニア、有機ハイドライド、液体水素等のエネルギーキャリアの開発および実現可能性の見極め
○水素利用技術(燃料電池、水素発電等)の低コスト、高効率化等の研究開発
○水素の輸送・利用に関する安全基準等の策定、規制緩和の働きかけに役立つ研究開発
である。
このエネルギーキャリア部門では、今年7月にアンモニアを燃料とした燃料電池による発電に成功し、9月にはアンモニアをガスタービンで燃焼させての発電にも成功している。なお、アンモニアの分子式はNH3であり、窒素と水素から構成される。水素を多く含む ため、エネルギーキャリアとして注目されている。
画像提供:首相官邸ホームページ