安倍首相 来年度の設備投資と賃上げを民間に要請
11月26日、安倍晋三首相は首相官邸で行われた第2回「未来投資に向けた官民対話」において、2016年度の法人税率引き下げ幅の拡大、および税率20%台への早期実現の方針を示した。省エネトップランナー制度の適用範囲を拡大するほか、節電した電力量を売買できる仕組みを2017年までに整備する方針。
同対話では「エネルギー関連の投資と課題」及び「産業界の投資拡大と賃上げ等の考え方」について議論が行われた。
首相は、「経済の好循環は設備投資と賃上げにかかっている」と述べ、投資への障害となる規制緩和や中小企業の設備投資の促進にも政府として取り組む一方で、民間に対して法人税改革の財源確保への協力を依頼した。賃上げについては名目GDP3%成長の道筋を視野に、「収益拡大した企業にさらなる賃上げを期待し、前向きな検討を呼びかける」と述べた。
民間のエネルギー関連では、省エネ性能の最も高い製品を基準として、どの製品もその基準以上を目指すことでエネルギー消費効率を改善する「省エネトップランナー制度」について言及した。1999年の施行から、これまで製造業向けだった同制度を、2015年度中に流通・サービス業へ拡大し、3年以内に全産業の7割まで拡大する方針を示し、同時に地域や中小企業の省エネ活動への支援を約束した。
個人のエネルギー関連では住宅の省エネを促進し、2015年度中のトップランナー制度を白熱灯へ適用する。さらに、2020年までにハウスメーカー等などの新築戸建の過半数を、太陽光発電などによって家庭で消費したエネルギーと発電したエネルギーを正味ゼロにする「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス」化し、省エネ・リフォームを倍増する方針が示された。
また、節電のインセンティブを抜本的に高め、家庭の太陽光発電やモノのインターネット接続(IoT)を活用し、節電した電力量を売買できる「ネガワット取引市場」を、2017年までに創設する方針が示された。
同対話は、官庁からは首相のほか、麻生太郎副総理、甘利明経済再生担当大臣、菅義偉官房長官、民間からは榊原日本経済団体連合会(経団連)会長、三村日本商工会議所会頭、小林経済同友会代表幹事などが参加した。
画像提供:首相官邸ホームページ