「伊能図」をデジタル化、現代の地図と重ねるソフト発売
河出書房新社(東京都渋谷区)は2日、江戸時代の「伊能図」を現代の国土地理院の地図と重ね合わせるデータベース「デジタル伊能図」を発売した。多分野の研究に活用できる可能性があり、注目が集まっている。
データベース化されたのは、伊能図の基本図である「大図」214枚と「江戸府内図」。伊能忠敬と伊能測量隊によって、約200年前の江戸後期、1821年に完成されたもの。幕末に一部が海外に流出し、その精緻さが高く評価された。明治・大正期の焼失などにより部分的にしか確認できていなかったが、2001年にアメリカ議会図書館で大部分が発見された。デジタル化し地理情報システム(GIS)を使って、現代の地理院地図と重ねられるよう編集した。
200年間の海岸線などの地形や街道の変化や、地名の比較などが容易にできるように作られており、地理・歴史だけでなく、社会基盤、都市計画、環境、地方創生など広範な関係者から注目が集まっている。
今回のデータベース化の背景には、古い地図を片手に街の歴史の痕跡を訪ね歩く「古地図ブーム」がある。その要因には、NHKの番組「ブラタモリ」の影響や、高齢化による定年退職後の時間的余裕などが挙げられる。
(写真はイメージ)