はやぶさ2、リュウグウへの軌道を航行中
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は14日、地球スイングバイ後の小惑星探査機「はやぶさ2」が、目標とする小惑星「リュウグウ」への軌道上を順調に航行していると発表した。
はやぶさ2は3日の地球スイングバイで軌道を約80°曲げ、秒速を約1.6km増速して太陽に対し約31.9kmとなり、スイングバイに成功していたことが確認できた。またスイングバイ後の4日午後1時9分、搭載している光学航法望遠カメラで約34万kmの距離から地球を撮影した画像を公開した。
はやぶさ2搭載のカメラは7つのフィルタで撮影でき、このうち3色の画像を使ってカラー画像を得た。今回の画像では右上にオーストラリア、右下に真っ白な南極大陸が見えている。静止軌道にあるひまわりなどの気象衛星は赤道上空にあるため、極地域を撮影するのは難しく、貴重な写真を撮ることができた。
はやぶさ2の目的は、小惑星リュウグウから有機物や水を含んだ鉱物を地球に持ち帰って調査することだ。7つのフィルタを使って撮った画像を比較すると、「そこに何があるか」がわかる。その情報を元にリュウグウのどこに目的とする鉱物があるか調査し、着陸地点を決定する。今回の地球撮影でその性能が確認できた。
津田雄一プロジェクトマネージャは、「メンバー全員力を合わせ、挑戦の航行を続けます。スイングバイにより軌道エネルギーを獲得し、これより地球を離れます。進路『リュウグウ』。それでは地球の皆さん、行って参ります」とコメントした。リュウグウに到着するのは2018年6~7月の予定だ。
*スイングバイとは、惑星の重力と公転を利用して軌道を変更する方法のこと。
画像提供:JAXA