木星が移動した結果、地球が誕生

 初期の太陽系で木星が移動した結果、木星よりも内側にあった「スーパーアース」と呼ばれる地球より大きな惑星が太陽に落下し、その後に地球がつくられた――。米カリフォルニア工科大学のコンスタンティン・バティジン助教と米カリフォルニア大学サンタクルーズ校のグレゴリー・ラフリン教授が、3月23日に米科学アカデミー紀要(PNAS)で発表した説だ。
 これまでに見つかった太陽系外の惑星の典型的な姿は、恒星の近く(太陽系で言えば水星よりも内側)を100日未満という短い周期でスーパーアースが公転しているというもの。太陽の近くにはスーパーアースが存在せず、太陽系はかなり珍しい姿をしているが、どうしてなのかよく分かっていなかった。
 彼らは、太陽系初期に木星が太陽に引き寄せられた後、土星の重力との相互作用で今の位置まで遠ざかったとする「グランドタック」シナリオに基づいてシミュレーションを行なった。すると、木星が太陽に近づく過程で内側にあった惑星などが連鎖的に衝突・分解し、スーパーアースが存在していたとしても破壊されて太陽に落下するとわかった。木星が移動したことで内側の第一世代の惑星が破壊され、その後に第二世代の惑星として地球のような質量の小さな岩石惑星が形成されたということになる。
 ラフリン教授は、「私たちの理論の予測の一つは、固体表面と適度な気圧を備えた、真に地球に似た惑星というのは、まれであるということです」と述べた。

画像提供:NASA