重力波、米で初めて直接観測成功 初期宇宙の観測も可能に
米マサチューセッツ工科大などの国際研究チームLIGO(ライゴ)が、重力波の直接観測に初めて成功したと発表した。米科学誌フィジカル・レビュー・レターズで11日(日本時間12日未明)に公開された。
質量を持った物体が動くと、周囲の時間と空間に生じたゆがみが重力波として伝わる。この空間の伸び縮みをレーザー光で直接検出しようと、米国では2002年からLIGO、欧州では2007年からイタリアにあるVIRGO(バーゴ)で観測を行ってきた。さらに日本でも、東京大学宇宙線研究所が岐阜県飛騨市に建設中のKAGRA(かぐら)で2017年度から観測を始める。
LIGOは2010年から5年かけて感度を3倍高め、本格観測を開始する試験を行っていた昨年9月14日に、重力波を初めて観測した。米国内のワシントン州とルイジアナ州の2カ所に設けた検出器で同時に観測された信号を解析したところ、地球から13億光年離れた場所で、太陽の29倍と36倍の質量を持った2つのブラックホールが合体した際に生じた重力波とみられることがわかった。
重力波の存在は、アインシュタインが100年前に一般相対性理論で予言して以来、各国が直接観測に挑戦してきた。重力波は光や電波などより浸透力が大きく、たとえば宇宙ができて最初の38万年間は高温で光が直進できないため観測できなかったが、重力波であればさらに時間を遡った観測も可能となる。重力波を観測することで、これまで見ることのできなかったものが見えるようになると期待される。
(冒頭写真はイメージ)