北大、アンモニア低エネルギー合成に成功 「人工光合成」でエネ問題解決へ
北海道大学の三澤弘明教授・押切友也助教の研究グループが、窒素を効率よくアンモニアに変換可能な助触媒を開発し、水・窒素・可視光からアンモニアを選択的に合成することに成功した。ドイツ化学雑誌『アンゲヴァンテ・ケミー国際版』に2月17日に掲載された。
同研究グループが開発した助触媒は、ジルコニウム・ジルコニア混合物(Zr・ZrOx)という成分で、触媒と組み合わせて用いることで、犠牲試薬なしで極めて高い選択性で窒素がアンモニアに変換された。これまで研究されてきた触媒の酸化チタンは紫外線を使う必要があり、また、金ナノ微粒子を用いた合成法では犠牲試薬が必要なほか、水素ガス発生が優位に起こるなどの課題があった。
エネルギー問題解決のためには、太陽光エネルギーを人工的に化学エネルギーに変換して貯蔵する「人工光合成システム」が注目されている。特にアンモニアは、燃焼や爆発の危険性が少ない、次世代のエネルギーキャリアとして期待されている。しかし現行のアンモニア製造法であるハーバー・ボッシュ法は大量のエネルギーを必要とするため、低エネルギーの合成法の開発が待たれていた。
今後、反応効率の向上や応答波長の広帯域化の推進など課題はあるものの、クリーンな「光アンモニア合成」の実用化への展開が期待される。
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