推定樹齢1000年の「三春の滝桜」長寿の秘密は?
今まさに満開の見頃を迎えている、福島県田村郡三春町の滝桜。毎年4月中旬から下旬くらいが見頃。17日にここを訪れた。品種はエドヒガン系のベニシダレザクラ。高さは13.5m、幹回りは8.1mの巨木だ。推定樹齢は1000年と言われている。
東北の遅い春の日差しを浴びると、ほとばしる滝のように可憐な紅色の花を咲かせる。毎年この桜を見るたびに思うことは、「どうやってこの滝桜は1000年もの長い期間、死なずに生きているのだろう」ということだ。
歴史を追ってみると、時代ごとにこの桜を愛する人たちの手によって、その命が保たれてきたということが分かってきた。
江戸時代の三春藩主秋田氏が入部した1645年(正保2)にはすでに大木であったと「滝佐久良の記」に記されている。1922年(大正11)には国の天然記念物に指定され、この頃から周囲に柵を設けて保護するとともに、「瀧桜保勝会」を組織し周囲の環境維持に努めた。 1965年(昭和40)には北側の太枝に大きな裂けた傷が見つかり、応急処置をし、その後開花期には根を守るためにスノコを敷くようにした。1989年には客土による土壌改良をし、草刈りや堆肥による土壌改良を毎年行うようにした。2006年からは滝桜サポーター事業を開始し、樹木の専門家や地元代表らによる委員会を設け、保護・保存に努めてきた。ここの桜を鑑賞するには300円の滝桜観桜料を支払うが、このお金は桜の保護・保存、周辺環境の整備に活用しているそうだ。
花が咲き終わると枝いっぱいに葉を茂らせ、初夏の風がこの葉を揺らす。秋には赤や黄色に色づきながら葉を散らせ、冬の風雪にじっと耐え、また新しい春を待つ。
年老いてもその美しさは変わらない三春の滝桜。今年も幽玄な気配を漂わせていた。