形状変化型ロボットで原子炉格納容器内調査 福島第一原発

 東京電力は20日、福島第一原子力発電所1号機の原子炉格納容器内1階部分に投入した2台の形状変化型ロボットでの調査結果を発表した。設備に大きな損傷は見当たらず、地下階にアクセス可能な開口部の周囲に障害物がないことを確認した。調査で得られた放射線量と温度のデータを踏まえ、廃炉作業に活かしていく。
 10日に投入した1台目のロボットは、格納容器内を反時計回りに往復して調査する予定だったが、約3時間後に往路の2/3の位置で走行できなくなった。ルート上での放射線量は毎時10シーベルト以下であると確認できたため、放射能が原因で故障したわけではない。ルートの最も狭い部分に落下物を確認してルートを変更した後、床面の継ぎ目にはまりこんで走行できなくなった。ロボットのカメラが当初の想定(約10時間)よりも長い期間、13日にケーブルを切断するまで格納容器内の放射線量に耐えられるという貴重な知見が得られた。
 15日に投入した2台目のロボットは1台目と同型で、格納容器内を時計回りに往復して調査した。16日に予定通り往路の調査を終え、17日に調査開始地点まで戻り、18日から1台目が調査した反時計回りのルートの再調査を開始。1台目が床面にはまりこんでいるのを確認し、切断したケーブルが今後の作業の支障にならないことを確認した。1台目が未調査だったエリアへのアクセスルートには干渉物があり、今回のロボットでは進入に支障があることも確認できた。カメラが故障すると、ロボットの回収時にガイドパイプ内で引っかかるリスクがあることから、無理に回収せずに今後の作業に支障を与えないエリアに2台目のロボットを19日に移動。20日にカメラが放射線の影響で故障し、ケーブルを切断して2台目も格納容器内に残置した。

画像提供:IRID(技術研究組合 国際廃炉研究開発機構)