欧州中央銀行、500ユーロ紙幣廃止を決定
欧州中央銀行(ECB)は5月4日の理事会で500ユーロ(日本円で約6万1000円)紙幣の廃止を決定し、これを公式発表した。500ユーロはユーロ紙幣の中で最も高額な紙幣だった。5月5日付の南ドイツ新聞オンライン版などが報じた。
廃止の理由としてECBは、テロ活動や麻薬の取り引き、闇労働などの犯罪資金としての悪用を絶つためとしている。今年2月のEU財相会議でも、500ユーロ紙幣に対するECBの「適切な対応」が求められていた。500ユーロ紙幣は今後造幣されず、2018年末で発行が停止される。しかし、法定通貨としてはその後も使用でき、ユーロ圏内の銀行での両替は可能となる。
500ユーロ紙幣は2016年3月の時点で2970億ユーロ相当の5億9400万枚が流通しており、すべてのユーロ紙幣の中で占める割合は全体の3.2%、価格に置き換えると27.8%に相当する。一方、最も多く流通しているユーロ紙幣は50ユーロ紙幣で全体の45%に当たり、価格相当では39%になる。500ユーロ紙幣の廃止に伴い、今後最も高額なユーロ紙幣は200ユーロ紙幣となる。
経済ジャーナリストのマルコス・ツィドラ氏は、「500ユーロ紙幣廃止がもたらす市民生活への影響は皆無と言っていい。各店舗やスーパーマーケットではすでに以前から500ユーロ紙幣での支払いを受け付けていないし、そんな大金をポケットに入れて歩き回る人もいないだろう」とコメントしている。
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