ベトナム産バナナ、日本の小売店に初 輸出基準クリアが「通行証」に
ベトナムから輸入したバナナが日本の大手小売店「ドン・キホーテ」で4月30日に販売開始となった。ベトナム産バナナを小売市場で正式に販売するのは初。ベトナム紙「VNエコノミー(VnEconomy)」と、商業・工業局の機関紙「企業演壇(Diễn đàn Doanh nghiệp)」が5月4日に報じた。
今回バナナを輸出したのは、ベトナム南部ロンアン省で数百万米ドル相当のバナナの備蓄を有するフイロンアン(Huy Long An)社。
駐日ベトナム大使館商務部のグエン・チュン・ズン公使参事官所長によると、東京都をはじめ、埼玉県、千葉県などのドン・キホーテ10店舗余りで取り扱っている。今後各企業と協力してプロモーション活動を強化し、日本市場でのベトナム産バナナのシェアを高めていくという。
食品輸入卸売業などを手掛けるヴィエント(VIENT、東京都中央区)代表の石川秀克氏は、「ベトナム産バナナは甘さが日本人消費者の味覚に合う上、価格競争力もある」と評価している。
日本でのバナナの消費量は年間約100万トン。フィリピン産が約80~85%を占めるが、日本の各企業は輸入元を多様化させようとしている。
<日本の輸出基準クリアが『通行証』に>
ベトナム-日本ビジネスクラブ(VJBC)のドー・ヴァン・ズン会長によると、今回の輸出では15トン分のコンテナを使ったが、バナナの量が足りずに完全に詰め切ることができず、比較的高い値段で提供することになってしまったという。
「バナナは栄養豊富なこともあって、日本では平均しておよそ1人が1日に1本食べており、需要はとても大きい。日本は輸入基準が厳しく、栽培土壌、品種、栽培方法、実の選定、衛生、コンテナへの詰め方など細部にわたるため、世界一輸出が難しい市場の1つ。しかし、だからこそこの市場に安定して供給できればそれが『通行証』になり、世界のどの市場にも売りやすくなる」とズン会長は述べた。第2、第3のコンテナを問題なく輸出できるよう、現在準備中という。
日本への輸入基準が認められたベトナム産の果物では、2009年に許可されたドラゴンフルーツ、昨年10月に許可されたマンゴーに次ぐ3つ目。昨年はベトナム産ドラゴンフルーツは1200トン、マンゴーは10トン輸入された。
(写真はイメージ)