【コラム】「第4次産業革命」とは何か? 日本が勝つための道は(前編)
4月27日、経済産業省が2030年に向けた「新産業構想ビジョン」の中間整理をまとめた。これは「第4次産業革命」と言われる、モノのインターネット(IoT)や人工知能(AI)、ロボット、ビッグデータなどによる産業の進化を可視化したものである。ドイツが2010年に掲げた産業政策「インダストリー4.0」を皮切りに、この第4次産業革命への国レベルでの取り組みが各国で進められている。欧米諸国が先を行く中で、日本にはどのような活路があるのだろうか。
<「第4次産業革命」とは>
そもそも第4次産業革命とは何か。経産省によると、第1次は蒸気機関の「動力の獲得」、第2次は電力やモーターの「動力の革新」、第3次はコンピュータによる「自動化の進化」、そして第4次は「自律的な最適化」と捉えたものだ。共通しているのは、ある産業に特化したものでなく、「すべての産業を革新するための基盤技術であること」であり、これによりこれまでに存在しなかった新しいニーズを満たすことができるとしている。そのカギとなるのが、先に挙げたIoT、AI、ロボット、ビッグデータといった分野の技術だ。
<すでに身近な技術になりつつある>
これら技術を活用し、海外グローバル企業はすでに世界展開を進めている。グーグルやフェイスブック、アマゾンなど、これまでインターネット上でサービス展開してきた企業がロボットや自動運転技術を取り入れて現実世界(リアル)へ進出している。また、これとは逆に、GEやシーメンス、IBMなどハードウエアで展開してきた企業は、IoTやクラウドといった技術を取り入れて、リアルからインターネットサービスに進出してきている。
日本はこれら欧米の進みに比べて遅れてはいるものの、最近になって、いくつかの分野において動きが見え初めた。例えば、流通・小売り業では、無人飛行体ドローンによる配送や生産工場でのロボットの自律化が行われている。また、モビリティでは、自動走行運転技術の研究や実証実験が進められている。このほかに金融では、従来は人を介して行っていた決済や送金を消費者の携帯端末から行えるようにする、「フィンテック」と呼ばれる技術分野が伸びてきている。医療・健康でも携帯端末などを利用して消費者が手軽に実践できる予防医療を実現する動きがみられている。
世界各国、各分野で様々な動きがある中、日本企業はどこに活路を見出していくのか……。後編へ続く。
(写真はイメージ)