ドイツ アルコール被害による経済損失は数十億ユーロ
ドイツで、アルコールに対する規制を強化すべきとの声がリベラル派の緑の党から挙がっている。6月2日付のヴェルト紙が報じた。
連邦政府の統計によると、現在ドイツ国内でアルコール依存症を患っている人の数は130万人と見積もられており、その予備軍ともいえる「健康を害しかねない量のアルコールを摂取している人たち」の数は950万人に上る。しかし、依存症で実際に治療を受けている人の割合は全体の10%に過ぎず、さらに依存症になってから10~15年経過して状態が深刻になってから医療機関にかかるケースがほとんどだという。飲酒が直接または間接の死因となって亡くなる人の数は年間7万4000人に上っており、飲酒は「回避可能な最大の健康被害」とされている。
また、アルコールを原因とする病気治療にかかる医療費は年間70億ユーロ(約8470億円)以上、飲酒運転などアルコールによる事故や犯罪で生じる経済的損失は2010~2014年の間で77億7000万ユーロ(約9401億7000万円)になると積算されている。
このような統計結果を受けて緑の党は、「連邦政府のアルコール政策は機能していないに等しい」と批判。アルコール飲料に対する広告規制や、酒税の引き上げ、アルコールの危険に関する青少年への教育などに、EUの政策決定を待たずに早急に着手すべきであると主張している。
※1ユーロ=約121円で換算。
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