113番元素の名称案「ニホニウム」、元素記号案「Nh」に
理化学研究所のチームが発見した113番元素の名称案が「nihonium(ニホニウム)」、元素記号案が「Nh」であると、国際純正・応用化学連合(IUPAC)が8日夜に発表した。これから5カ月間、一般からの批評を受けた上で正式決定される。世界中の化学の教科書に、アジアの国としては初めて、日本発の元素名が周期表に加わる。
113番元素は、理研の森田浩介グループディレクター(九州大学大学院理学研究院教授)らが、重イオン線形加速器「RILAC」を用いて2003年9月から合成に着手し、2004年7月に初めて合成に成功した。2005年4月と2012年8月にも合成に成功した。ロシアとアメリカの合同チームも別の方法で合成に成功したと発表していたが、昨年12月31日、IUPACは森田さんらが113番元素を発見したと認定し、新元素の命名権を授けた。森田さんらは今年3月18日にIUPACに新元素の名称案と元素記号案を提出し、これまでIUPAC内での検討が行われていた。
森田さんは、「周期表に日本発の元素を見出した人が少しでも誇らしい気持ちになり、科学に興味を抱いてくださるなら、科学的な思考をもつ人の数を増やすことにつながり、ひいては日本の科学技術の発展に寄与しうると考えるとき、私たちは、私たちの行ってきたことに大きな意義を見出すことができます」とコメントしている。
なお、IUPACによる新元素の命名法は、(a)神話のコンセプトやキャラクター(天体を含む)(b)鉱物または類似物質(c)場所または地理的地域(d)元素の性質(e)科学者のいずれかの名称を基本として、末尾に「-ium」などを付けることになっている。大部分の元素(第1族~16族)は末尾に「-ium」と付けることになっており、第17族は「-ine」、第18族は「-on」が付けられている。
このため、理研という組織名にちなんだ「リケニウム」というのは不可だった。また、正式でなくとも一度付けられた名前は文献などの混乱を避けるために使用できないという決まりもあるため、かつて43番元素に付けられた「ニッポニウム」も不可。有力候補と言われていた「ジャポニウム」は命名法に則っているが、森田さんらは外国語ではなく日本語での「日本」にこだわったようだ。
また、IUPACは同時に115番元素、117番元素、118番元素についても名称案と元素記号案を発表した。115番元素は「moscovium」で「Mc」、117番元素は「tennessine」で「Ts」、118番元素は「oganesson」で「Og」と発表された。
参考記事
113番元素の命名権、決着は持ち越し
周期表に日本発の元素名
(画像:IUPACホームページより)