ユニセフ『世界子供白書2016』発表 就学率向上の必要性を訴える
国連児童基金(ユニセフ)は6月28日、『世界子供白書2016』を発表した。子どもの就学率向上の必要性を訴え、特にサハラ以南のアフリカが最も貧困状況や子どもを取り巻く状況が厳しいと指摘している。
白書には、世界の5歳未満児死亡率が1990年から半分以下となったこと、129カ国で男女が同等に学校に通うようになったこと、世界の極度の貧困に苦しむ人の数は1990年代の半数程度に減少したことなど、子どもたちの生活を支える大きな進歩があったことを記している。一方で、この進歩は平等なものではなく、貧しい子どもと裕福な子どもの就学率や死亡率には差が出ていることも指摘した。特にサハラ以南のアフリカでは、少なくとも2億4700万人、あるいは3人に2人が多元的な貧困の中で暮らしており、生存や成長に必要なものをはく奪されているという。
また白書では、子どもたちへの投資が短期・長期的に利点を生み出すことを証明している。例えば現金給付により、より長い期間の就学が可能になることや、子どもが教育を受ける期間が1年延びるごとに、大人になってからの収入が平均約10%増加することを挙げている。また、国の若者の学校教育履修期間の平均が1年長くなるごとに、その国の貧困率は9%低下するという。
同白書では「不公平は、避けられないものではなく、克服できないものでもない」と述べられている。ユニセフは同白書をもとに、子どもたちに関するより正確で有益なデータ、子どもたちが直面する問題に対する総合的な解決策、平等な投資、コミュニティの参加促進などの対策の必要性を訴えている。
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