ルター訳ドイツ語聖書を30年ぶりに改訂へ 宗教改革から500周年を機に
ドイツ・プロテスタント教会はこのたび、30年ぶりにマルティン・ルター訳聖書の改訂を行うことを発表した。ヴェルト紙などドイツ紙各紙が報じた。
ルターは、プロテスタント教会の源流を作った宗教改革者。聖書を初めてドイツ語に訳し、民衆の啓蒙に貢献した人物としても知られている。2年後の2017年は、ルターが宗教改革を起こした1517年から500周年に当たり、この機会にルターの最初の訳に近づける形で聖書の改訂が行われるという。
たとえば、新約聖書のルカによる福音書7章にある次の場面。
ある「罪の女」がイエスに近寄り、泣きながらイエスの足に接吻し香油を塗る。多くの絵画などにも描かれ、さまざまな解釈が成されてきた有名なこの箇所で、イエスの語った言葉がルター訳の原文では「この女は多く愛したから、その多くの罪は許されているのである」となっているが、これが1984年の改訂版では「この女は多くの愛を示したから…」と修正されている。この箇所がこのたび、原文に戻されることになった。
今回の改訂に携わる専門家らは、ルター訳の持つ力強さに着目し、ルター自身の訳語を尊重する方針を打ち出している一方で、古代ギリシャ語の原典に当たっての訂正も行なっていくとしている。