毒のないジャガイモの開発に成功 理研
理化学研究所と大阪大と神戸大の共同グループは7月26日、ジャガイモに含まれる有害物質として知られるソラニンの含有量を抑えることに成功したと発表した。
ジャガイモの芽には毒があることが知られている。毒の正体はソラニンを主成分とするステロイドグリコアルカロイド(SGA)。2004年にSGA生成の元になる物質がコレステロールということが分かったが、SGAが生成されるまでの過程は不明のままだった。
今回、同グループはSGAが多く蓄積されるジャガイモの芽や花の遺伝子解析を行なったところ、SGAを作りだすのに「PGA1」と「PGA2」という遺伝子が関わっていることを発見した。実際に、この二つの遺伝子の発現をそれぞれ抑制させたジャガイモを作成し、SGA含有量を調べた結果、普通のジャガイモよりも低いことが明らかになった。
また、ジャガイモは収穫後、日光に照らすと芽が伸びる性質を持っているのに対し、遺伝子を抑制したジャガイモは日光に照らしてもSGA含有量は増加せず、芽も出てこなかった。なお、SGAの合成経路の変化で萌芽を抑制していることが予想されるが、原因はまだ分かっていない。
今回の成功により、同グループはSGAを抑えた毒のないジャガイモの育種が可能となる日が近いとしている。
画像提供:理化学研究所
(冒頭の写真はイメージ)