電力自由化から4カ月 認知度向上も、切り替え件数は2%
電力自由化の開始から4か月が経過した。電力自由化の認知度は向上しているものの、切り替え件数は2%台にとどまっていることが複数の調査で分かった。また、切り替えを検討する上で最も重視されたのは「価格の安さ」で、どんな発電方法で生産された電力なのかを考慮した割合は低かった。
切り替えに慎重
電力広域的運営推進機関が10日に発表した月例リポートによると、既存の電力会社から新電力会社などに切り替えた件数は、7月末の時点で147万3000件となり、全契約数6260万件のおよそ2.3%となった。
一方、トッパン・フォームズが9日に発表した、18歳以上の男女5000人へのアンケートでの電力に関する意識調査では、「電力自由化」の認知度は9割に上った。ただし、電力自由化について「特徴も知っている」と回答したのは44.2%にとどまり、47.1%が「名前だけ知っている」と答えた。電力自由化の認知度は91.3%となり、1年前の調査時の65.1%を大幅に上回ったが、実際に切り替えているのはこのうち1割強にとどまった。
「価格」重視の傾向
また、切り替え意向は1年前に比べて5.5ポイント減の17.4%となった。同社は「切り替え検討のためのさまざまな情報収集を経て、切り替えの意志決定がひと段落した」としている。実際に切り替えをした人の決め手は、「価格の安さ」という回答が67.1%と最も多かった。一方で切り替え検討中の人にとって最もネックになっているのも「価格」(51.0%)となっており、切り替えにかかる時間・費用などの手間が足かせとなった。
電源構成の意識は依然低い
同調査によると、切り替え先の選定で「発電方法」を決め手とした人は、「自然エネルギーによる発電」を挙げたのが2.2%、「原発以外の電力供給」を挙げたのが1.7%となった。一方、「発電に自然エネルギーを利用していないこと」を切り替え検討のネックとしているのは6.0%、「発電に原発を利用していること」をネックとしているのは3.9%で、いずれも検討事項として考慮した人は少なかった。
どんな発電方法で生産された電力かを示すのが「電源構成」である。しかし、この電源構成を知ることが難しいのが現状だ。新電力会社の価格やプランを比較するサイトは存在するが、「電源構成」について触れているものはほとんどないからだ。4カ月経った今こそ、改めて電力自由化についての更に詳しい説明や、新電力会社の施策の周知などが課題となっている。
参考記事
【特集】電力自由化をもっと身近に! ~part1.電力自由化に流されないために
(写真はイメージ)