九州大学が自閉症の発症メカニズムを発見 治療法の開発へ期待
九州大学の中山敬一主幹教授らの研究グループが、自閉症の発症メカニズムを解明し、治療へと繋がる成果を出した。7日、英科学誌『Nature』に公開された。
研究グループは自閉症の患者で最も変異が多いCHD8というクロマチンリモデリング因子に着目し、ヒト患者と同じような変異をマウスに起こすと、コミュニケーション異常や固執傾向が強まるなど、ヒトの自閉症とよく似た症状が現れることを発見した。
さらに、遺伝子変異によってCHD8の量が減少するとRESTという神経発達に重要なたんぱく質が異常に活性化され、その結果として神経の発達遅延が起こることを発見。これはCHD8を人工的に上昇させるか、RESTを抑えるかのいずれかで自閉症が治療できる可能性を示しており、研究者は「自閉症の原因が判明したことによって、新たな治療法の開発が期待される」とコメントしている。
自閉症は、非常に頻度の高い精神疾患の一つで、50人に1人が発症すると言われている。自閉症の原因として、胎児期の神経発達障害が以前から示唆されてきたが、具体的なメカニズムはこれまで不明だった。
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