大きな地震は、満月や新月の時に起こりやすい
大きな地震は満月や新月の時に起こりやすい――。そんな傾向があるという報告を、東京大学の井出哲(いで さとし)教授らのグループが、12日付の英科学誌『ネイチャー・ジオサイエンス』で発表した。
太陽や月の重力が地震を誘発する可能性については長らく議論されてきたが、確実な証拠は得られていなかった。今回、過去20年間に起きたマグニチュード(M)5.5以上の地震について、地震発生の2週間前における「潮汐応力」の大きさと振幅を再計算した。太陽や月によって海水が周期的に満ちたり引いたりする潮汐が、地球内部(地殻)に及ぼす力を潮汐応力という。潮汐応力がもっとも大きくなるのは、地球に対して月と太陽が直線状に重なる満月や新月のとき、つまり「大潮」の時だ。
潮汐応力と小さな地震との間には明確な相関は見られなかった。しかし、2004年インドネシア・スマトラ沖地震(M9.3)、2010年チリ・マウレ地震(M8.8)、2011年日本・東北地方太平洋沖地震(M9.0)など、非常に大きな地震はいずれも潮汐応力が大きい「大潮」の時に起きていた。また、潮汐応力の振幅が増加するにつれて、小さな地震に比べて大規模な地震の割合が増加することも発見した。
大きな地震がどのように始まり、成長していくのかについて、まだ正確にはわかっていない。しかし、小さな破壊が積み重なり、段階的に大規模な破壊へと成長していくのなら、今回の結果は大きな地震が大潮の時により起こりやすいことを示す。つまり、潮汐応力の状態を調べることで大きな地震が発生する確率を評価できる可能性がある。
画像提供:ネイチャー・ジオサイエンス