【ノーベル賞2016】知っているようで、意外と知らないノーベル賞
10月初旬、今年もノーベル賞の発表の時期がやってくる。毎年12月に「人類の福祉に最も貢献した人々」に贈られ、これを受賞することは世界的にも非常に栄誉なこととされる。
誰もが知るノーベル賞だが、改めて「ノーベル〇〇賞っていくつあるの?」「賞金はいくら?」「なぜ始まったの?」などと聞かれたら……意外とすんなり答えられない人も多いかもしれない。本稿では、そんなちょっとした疑問に答えてみたい。
ノーベル賞とは?
まず、賞の名前になっている「ノーベル」は、スウェーデンの化学者で「ダイナマイト」を発明したアルフレッド・ノーベルに由来する。ノーベル賞は、彼の遺産を使って、人類の福祉に最も貢献した人々に賞を与えるようにと、本人の遺言によって1901年に開始された。ノーベルが「候補者の国籍は考慮しないこと」と指定したことを受け、国籍を問わない世界初の国際賞となった。
毎年、彼の命日である12月10日に、スウェーデンの首都ストックホルム(平和賞のみノルウェーの首都オスロ)で授賞式が行われている。
ノーベル「〇〇賞」はいくつ?
ノーベルの遺言では、物理学、化学、生理・医学、文学、平和の5分野が指定された。後にスウェーデン国立銀行によって経済学賞が追加され6分野となったが、正式にはノーベル賞とは異なる。
科学賞は各分野の発明・発見・改良、文学賞は理想的な方向性の文学、平和賞は軍縮や平和推進への貢献が評価される。同時受賞できるのは、1分野で最大3人。このため、同じ分野で多大な貢献をした研究者だとしても、惜しくも選出されないこともある。
賞金はいくら?
授賞式にスウェーデン国王から授与されるのは、ノーベルの肖像が刻まれた金のメダルと賞状で、翌日には賞金が与えられる。2012年からは1部門につき800万スウェーデン・クローナ(約1億円)となったが、それまでは1000万スウェーデン・クローナ(2011年時点で約1億2000万円)だった。
このように賞金額はたびたび変動している。ノーベルは遺言で「遺産を安全な有価証券に投資し、継続される基金を設立。毎年の利子を、前年に人類のために最大たる貢献をした人々に分配されるものとする」と指示している。これに基づいて、ノーベル財団が運用する資産の利子によって賞金額が決まるため、変動があるのというわけだ。
生前の不評が賞設立のきっかけ
現在でこそ、誰もが知る栄誉の象徴となっている「ノーベル」だが、生前の彼は、「死の商人」と揶揄されるほど、人々からの評判は良くなかったという。彼が築いた莫大な財産が、ダイナマイトをはじめとする爆薬や兵器などの開発によるものだったからだ。ノーベルは「死後、人々にどのように記憶されるか」を考え、遺言で遺産の使い道について前述のように指示したのだという。かくして「ノーベル」は、人類の幸福に貢献した功績への栄誉と共に記憶される名前になった。
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