熊本大学が心不全の発症メカニズムを解明 根本治療の開発へ期待
熊本大学の尾池雄一教授らの研究グループが、心不全の発症メカニズムを解明し、根本治療へ繋がる成果を出した。28日、英科学誌『Nature Communications』オンライン版に公開された。
研究グループは、老化した細胞などにおいて「アンジオポエチン様タンパク質2(ANGPTL2)」が過剰に分泌されていることを発見。ANGPTL2が心筋細胞に作用して心筋細胞内のカルシウム濃度調節やエネルギー産生機能を低下させ、心不全を発症させることを明らかにした。
同グループは、ANGPTL2の働きを抑制する遺伝子治療の開発を進めており、既にヒトiPS細胞から作成した心筋細胞でその有効性を示す結果が得ている。今後、心機能低下のメカニズムにアプローチする新しい根本治療法として期待される。
心不全は、重度の心不全患者においては治療開始から5年以内に4~5割の患者が亡くなっている。従来行われている治療法は主に対症療法で、治療が困難な病気の一つ。患者数は今後も世界規模で増加することが予想されており、効果的な根本治療の開発が望まれている。
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