【ノーベル賞2016】物理学賞に米国の3人 超伝導などトポロジーで説明
スウェーデン王立科学アカデミーは4日、2016年のノーベル物理学賞を発表した。英国生まれで米ワシントン大学のデビッド・J・サウレス名誉教授が2分の1、英国生まれで米プリンストン大学のF・ダンカン・M・ホールデン教授と英国生まれで米ブラウン大学のJ・マイケル・コステリッツ教授が4分の1ずつ授与される。受賞理由は、「物質のトポロジカル相とトポロジカル相転移の理論的発見」。超伝導や超流動、磁性薄膜といった物質の特殊状態を、トポロジー(位相幾何学)という数学的な概念を用いて理論的に説明したことが評価された。
コステリッツ教授とサウレス名誉教授は1970年代にトポロジーを用いて、物質の超伝導が低温で起こり得ることを証明し、また高温では消滅する機構を相転移で説明した。ホールデン教授も80年代に、微小な磁石の鎖の性質を理解するのにトポロジーの概念を用いることができるのを発見した。
過去10年間、この分野は物性物理学の最前線の研究を加速してきた。トポロジカル物質が、エレクトロニクスや超伝導体の新しい世代、または将来の量子コンピュータで使用され得るという希望があるからなおさらだ。彼らの先駆的な仕事のおかげで、材料科学とエレクトロニクスの両方で将来の応用に期待が寄せられている。
画像提供:ノーベル財団