健康的な日本食は「1975年型」 東北大が有益性を確認
1975年頃に食べられていた典型的な食事が、現代食と比べて健康有益性が高いことを見出したと東北大学の研究グループが発表した。1975年型の日本食を1日3食、28日間食べた結果、軽度肥満者に対してはBMI(肥満度を表す体格指数)の低下が確認され、健常人に対してはストレス軽減、運動機能向上が確認されたという。
1975年型日本食とは?
研究グループは、特定の食品や食材ではなく、「日本食」そのものの健康への影響に着目。時代とともに徐々に変化している日本食の中で、1975年頃に食べられていた食事が高い健康有益性を持つことを、マウスを使った実験から明らかにした。さらに、過去の研究結果をもとにして1975年型日本食の特徴を5つの要素に分けた。
(1)「多様性」 いろいろな食材を少しずつ摂る。(2)「調理法の頻度」 煮る、蒸す、生の頻度が高く、茹でる、焼くは中程度。揚げる、炒めるは頻度が低い。(3)「食材の摂取頻度」 大豆製品、魚介類、野菜(漬物を含む)、果物、海藻、きのこ、緑茶を積極的に摂取。卵、乳製品、肉は適度な摂取にとどまる。(4)「調味料の利用頻度」 醤油・味噌・酢・みりん・酒などの発酵系調味料や出汁を積極的に利用し、塩、砂糖は控えめ。(5)「食事の形式」 一汁三菜で、主食の米と、汁物、主菜、副菜2品から構成される。
今回の研究では、軽度肥満者60人と健常人32人を対象に実験。「1975年型日本食」が身体に与える影響を、現在の日本人の食事摂取基準に準じた食事「現代食」と比較した。被験者を2つのグループに分け、それぞれの食事を1日3食、28日間取ってもらい、(各項目の)前後の変化を測定した。なお、試験期間中、健常人の各グループは1 日1時間以上の中程度の運動を週3回行っている。その結果、軽度肥満者では現代食を食べたグループと比較して、1975 年型日本食を食べたグループにおいてBMIや体重の減少が確認された。健常人に対しても、1975年型日本食を食べたグループでストレスの軽減、運動能力の増加が有意に確認されたという。
研究グループは、今回の結果を病気の予防やQOL(Quality of Life)の向上に役立て、健康有益性の高い「日本食」を世界に発信していきたいとしている。
参考記事
日本食の抗疲労効果を検証 大阪市立大、割烹料理店などが共同研究(2016/09/03)
(写真はイメージ)