富士通、ICT技術でシマフクロウ生息調査を支援

富士通グループは、日本野鳥の会が北海道東部で実施しているシマフクロウ生息調査に対して情報通信技術(ICT)を活用した支援を15日から行っている。同グループの開発した音声処理技術を応用し、生息域で録音した音声データの中からシマフクロウの鳴き声を自動認識して高精度で抽出するプログラムを開発した。シマフクロウ生息域調査の効率化、精度向上が図れる。

シマフクロウは環境省のレッドリストで絶滅危惧IA類に指定されている。日本では北海道東部の知床、根室、日高地域などで見られるだけになり、つがい約50組、140羽程が生息している。

野鳥の会は、1986年から野鳥保護区の設置によりシマフクロウ生息地の保全活動をしてきた。その調査にあたり、従来は調査員が数時間、耳で聞いて鳴き声を確認していた。2011年10月からは、ICレコーダーを設置して録音した音声を、市販の音声解析ソフトによるスペクトル解析や試聴によって人が確認してきた。

富士通グループは、シマフクロウのオスとメスが鳴き交わすときの音声パターンに着目。録音データの中からシマフクロウの鳴き声だけを自動認識して高精度で抽出するプログラムを開発した。これによりこれまで1時間かかる処理作業が2、3分に短縮されるとともに、人での作業では見落としていた遠くの声も検知可能となり、調査精度も向上した。

富士通グループは今後もICT技術で、シマフクロウの他にも生物多様性保全に取り組んでいくとしている。

(写真はイメージ)

参考記事
日本野鳥の会、土地を購入してシマフクロウの保護区を設置(2016/08/29)

 
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