若手研究者の個の確立を支援 「ACT-I」の採択者を発表 JST
科学技術振興機構(JST)は18日、若手研究者を対象とした研究支援プログラム「ACT-I 情報と未来」の採択結果を発表。144件の応募の中から30件の研究課題が採択された。研究期間は1年4カ月で、研究費用として、個人あたり標準で300万円、最大500万円が支給される。(一覧参照)
「ACT-I」 は、人工知能やビッグデータ、IoT、サイバーセキュリティなどを含む情報学分野において、今後の活躍が期待される若手研究者の育成・教育を目的とした個人型の支援プログラム。応募時には、修士以上35歳以下の年齢制限が設けられている。
「ACT-I」の初年度となる今回の公募に対し、基礎研究から応用研究まで多様な研究分野から144件の応募があり、書類選考と面接選考の結果、「独創的かつ挑戦的なアイデアに基づく」と評価・採択されたのは30件。採択された研究者の平均年齢は29.5歳と若く、女性研究者や外国人研究者からの採択も、比較的高い割合となった。今後、採択された課題の研究者は、研究総括と担当アドバイザーの助言・指導を受けながら研究に取り組む。
同プログラムの担当アドバイザー、五十嵐健夫東京大学大学院教授は「一番クリエイティブな仕事をするのは20代前半。科学技術の発達には若手研究者の支援が不可欠だが、その年代を直接支援できるプログラムは国際的にもなかった。今回、その支援を国で始めたというのはとても重要なことであり、これから日本が国際競争で勝ち上っていくための重要なファクターになるのではないか」と、ACT-Iへの期待を語った。
<今回採択された研究課題(五十音順)>
青木裕一(東北大学産学官連携研究員)
遺伝子相互作用の高精度モデリングに向けたペアワイズ深層学習モデルの開発
荒瀬由紀(大阪大学准教授)
マルチモダリティを可能にするテキストのベクトル化技術の創出
飯塚里志(早稲田大学研究院助教)
多層ニューラルネットワークモデルを用いた大規模学習による歴史的映像コンテンツの自動修復手
法の開発
石黒祥生(名古屋大学特任准教授)
現実環境仮想化による自動運転インタラクションシステムの研究
井上中順(東京工業大学助教)
マルチメディアデータから新しい概念を発見する高階モデル学習
今倉暁(筑波大学助教)
非線形非負行列分解を用いたディープニューラルネットワーク計算手法の開発
内山彰(大阪大学助教)
バッテリレスセンサの分散協調によるSustainableIoT基盤開発
浦西友樹(大阪大学准教授)
計算機視覚のための構造色物体の形状と光学現象モデルの計測
小田昌宏(名古屋大学助教)
大腸変形モデルを用いた大腸内視鏡下治療誘導システムの開発
久保勇貴(筑波大学大学院生修士課程)
超小型端末を利用したメタファに基づく操作手法
黒木菜保子(お茶の水女子大学大学院生博士課程)
CO2フリー社会実現のための物理化学と情報科学の融合
小林亮太(国立情報学研究所助教)
時系列データの自動解析技術の実現
シモセラ・エドガー(早稲田大学研究院助教)
Interactive AI-Aided Content Creationusing Deep Unsupervised Learning
鈴木久美子(国際航業研究員)
マルチモーダル学習による地球観測データを用いた森林構造の把握
曽我部舞奈(京都大学大学院生博士課程)
スパースモデリングを用いた生体内ライブイメージング技術の限界突破
高木信二(国立情報学研究所特任助教)
あらゆる声を対象としたテキスト音声合成フレームワーク
千葉直也(東北大学大学院生修士課程)
プロジェクタ・カメラ間の輝度伝達行列の推定に基づく三次元計測法
鄭銀強(国立情報学研究所助教)
Developing a Multispectral RGB-D Camera for 3DVideo Capture of Underwater Scenes
寺山慧(東京大学特任研究員)
カメラ・ソナー情報統合によるクロマグロ養殖支援技術の開発
中島一崇(東京大学大学院生修士課程)
実際の造型過程を考慮した形状最適化
馬場雪乃(京都大学助教)
信頼性の高い相互評価システム実現のための機械学習法の開発
原祐子(東京工業大学准教授)
大量ストリームデータのリアルタイム処理に向けた柔軟なアーキテクチャ探索と設計環境構築
舟洞佑記(名古屋大学助教)
次世代着衣型アシストシステムのための機構と制御の相補的検討
松井勇佑(国立情報学研究所特任研究員)
圧縮線形代数:データ圧縮による省メモリ高速大規模行列演算
森前智行(群馬大学助教)
古典検証者によるセキュアクラウド量子コンピューティング
矢内直人(大阪大学助教)
暗号学的期待値分布に基づくソースコードレベルでの汎用的脆弱性検証手法
山口勇太郎(大阪大学助教)
グラフでの詰め込み問題におけるマトロイド性の限界の追究
山本和彦(東京大学大学院生博士課程)
機械学習による3D音響用頭部伝達関数の特定ユーザへの最適化
米谷竜(東京大学助教)
プライバシー保護一人称ビジョン
若宮翔子(奈良先端科学博士研究員)
時空間×意味ギャップ解消による大規模ソーシャルメディアの医療応用に関する研究