試験中のエボラ出血熱ワクチン「非常に高い効果」 WHO
世界保健機関(WHO)は23日、英医学専門誌ランセット(Lancet)で、致死性の伝染病であるエボラ出血熱ワクチンrVSV-ZEBOVについて、「感染予防効果が非常に高い」と報告した。
昨年ギニアで、11841人の被験者を対象に同ワクチンの臨床試験が実施された。この試験の結果、ワクチンを接種した5837人の中からは接種後10日以上を経過してエボラの症状が記録された患者はいなかった。一方、ワクチンを接種しなかった人の中からは接種後10日以降に症状が23件確認された。
試験では、安全性を評価するために、被験者はワクチン接種後30分間観察され、12週間後まで家庭訪問が繰り返された。約半数は接種直後に頭痛、疲労、筋肉痛など軽度の症状を報告したが、いずれも数日以内に回復したという。試験はギニアの保健省をはじめノルウェーの公衆衛生研究所、およびWHOが他の国際パートナーと協力して実施された。
論文筆頭著者のマリ・ポーレ・キエニー博士は、「この説得力のある試験結果は、西アフリカのエボラ流行期間中に命を失った人々にとっては遅すぎたが、次のエボラ流行が発生する時には、もはや無防備ではないだろう」と述べている。
同ワクチンは、今後提出されればより速い認可手続きを経ることになり、ワクチン製造者である独医薬品のメルクは認可のために2017年末までに提出するという。
なお、子供やHIV感染者など感染しやすい人々に対しては、ワクチンの安全性を確かめるため、さらなる調査が続けられている。
冒頭の写真:WHO本部(スイス・ジュネーブ)