自閉症児に特徴的な色彩感覚 京大が確認
京都大学とフランスの研究チームは、自閉症スペクトラム障害(ASD)の男児の色彩感覚について調査し、ASD児は黄色が苦手で緑色を好む傾向があることを明らかにした。12月23日、スイスの学術誌『フロンティア・イン・サイコロジー(Frontier in Psychology)』に掲載された。
ASDには、コミュニケーションの不得手や興味関心が極端に限られているなどの傾向があることが知られている。また、一般的に騒音とされない程度の音に対してうるさく感じられたり、わずかな皮膚接触でも痛みを覚えたりする「知覚過敏」の傾向もあると考えられている。研究グループは、知覚の中でも「色彩」に着目。ASD児の色彩感覚について体系的な調査を行った。
そこで研究グループは、レンヌ在住で4~17歳のASDの男子29人と、同年齢で特に障害の認められない38人の男子を対象に、色の好みについて比較した。実験に用いた色見本は、赤、青、黄、緑、茶、ピンクの6色で、各色の「好感度(好みの程度)」を数値化した。
その結果、2つのグループともに一番好まれる色は赤と青だった。一方、2つのグループを比較した時に、ASD児では黄色が好まれず、反対に緑と茶の好感度が高くなることが確認された。これは黄色があらゆる色の中で、もっとも輝度(明るさの程度)が大きく、生理的に刺激の強い色彩であることと関係していると考えられるという。
研究グループは、街頭の広告や看板には目を引く(刺激の強い)色が使われている例が多いが、生活環境を整える上で色彩の面も配慮することで、ASD児へのストレスを軽減できる可能性があるとしている。
(写真はイメージ)